100のお題場


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お題006-2 つまらない宝物
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仲間の誰もが、死を覚悟して臨んだ対魔王戦。みなの無事を確認し、安堵した勇者に陽光が降り注ぎました。この世界にも、光が戻って来たのです。

明るくなって見てみれば、魔王の玉座の後ろには、まだ小さな部屋がありました。けれど、仲間の商人が期待したような宝物は、何もありませんでした。この城の台所でさえ、もっと煌びやかだと思うような、とても簡素な空間です。椅子と机が1組と、仮眠くらいはできそうな質素なベッド。

その奥に、勇者は一輪の花が咲いているのを見つけました。魔王の支配する世界で、この植物が根付き花を付けるなど、非常に珍しいことです。 
けれど、この世界の上にある、陽光射す大地に育った勇者には、ただの野の花にしか映りません。彼もまた、これが誰かの宝物だとは、思いもしなかったのです。

そうして、いつの日かこの世界でも、野に花があふれるのです。
08/27/2003


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お題006-1 つまらない宝物
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「あの剣さえあればお前だって倒せる」 
負け惜しみとも取れるその言葉に興味を持った、 
数える所、51代目の魔王。息も絶え絶えの勇者が 
言ったあの剣とは、伝説に詠われた光の剣のこと。

その剣だけが、魔王の絶対の護りを打ち消す事が 
できるのです。だからこそ、代々の魔王が何より 
も大事にし、居城の奥へと隠していたものでした。

しかし51代目の魔王は、そんな状況に退屈してい 
ました。こんなもので命を懸けた対等の戦いが 
できるならと、魔王は大事な一族の宝を、あっさり 
と勇者へ取らせてしまいました。

51代目の魔王にとって、一族の至宝はつまらない 
宝物だったのです。
08/27/2003


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